2015.04.17

境界紛争の解決手段

   先日、千葉県土地家屋調査士会の会員向け研修にお招きいただき、「裁判と筆界」をテーマに講演をさせていただきました(筆界とは、土地と土地の境目のことをいいます)。
   土地境界の紛争については、以前は「境界確定訴訟」という裁判で解決するのが主流でした。しかし、この「境界確定訴訟」は大変時間がかかることで有名で、長期化する裁判の典型例として問題視されていました。
   そこで、これを打開すべく、平成18年に「筆界特定制度」(法務局が筆界の位置を特定し公証する制度)が開始し、現在では広く利用されています。
   また、これと前後して、各地の土地家屋調査士会が続々と境界紛争に関するADR機関(調査士会ADR)を立ち上げました。「ADR」とは耳慣れない言葉ですが、裁判外での紛争解決手続のことをいいます。
   千葉県土地家屋調査士会でもADR機関(「境界問題相談センターちば」)を立ち上げ、土地家屋調査士や弁護士がその専門性を生かして相談や調停を行っており、当事務所では私(永嶋)と土屋弁護士も同センターの調停委員・相談員を担当しております。
   安価かつ迅速、そして筆界特定に比べて柔軟な解決が期待できる点が同センターのメリットですが、センターの存在自体があまり知られていないからでしょうか、筆界特定制度と比べると利用が広がっていないところが残念です。
   このように、境界紛争の解決手段には様々なメニューがあります。私たちは、ご相談者ご自身の問題の解決に適した制度をご案内いたすように心がけております。

(文責:永嶋)