2022.10.26

法曹養成

現在、法曹になるためのルートは、①法科大学院を卒業し(司法試験予備試験に合格する方法もある)、②司法試験本試験に合格し、③司法研修所における修習を終える、というものが通常となります。
そう考えると、私ごとではありますが、僕は昨年までの活動において、上記一連の過程のすべてに関わらせていただいたことになりそうです。

法科大学院での講義の際には、理論と実務の架け橋という理念のもと、できるだけ机上の議論にならないよう具体的事例に即して法律、条文を教えることを心がけたつもりです。
司法試験考査委員をしていたときは、出身母体の異なる他の考査委員の方々に気後れをしつつも、独自の色を出さなければ弁護士委員としての意味がないと勢い込んでいました。
司法研修所の弁護教官時代は、担当科目は刑事弁護でしたが、それに限らず具体的事案でどう頭を使うかみたいなことを伝えられればいいなと思っていました。

ところで、司法試験の受験者数の減少傾向に歯止めがかかりません。
法曹が国民の権利の護り手であることを考えると、司法試験が十分なセレクション機能を有していることは国民にとっても不可欠なことであろうと思います。
これを改善する妙案などは僕ごときでは浮かびませんが、考査委員として関与させていただいた口述試験は、受験生の力量を見るのにふさわしい試験だと個人的には強く感じました。現在は司法試験予備試験のみで実施されているこの試験は、かつては旧司法試験(今でいう本試験)でだけでなく二回試験(司法研修所卒業試験)でも実施されており、僕も受験しました。約20分の試験時間の中で、事例を与えて見解を述べさせ、で、どの見解を答えてもその説の弱点を付いて受験生の思考を試す、それと並行して知識も問うていくというこの試験は、受ける側からもなかなかハードな試験ですし、その運営にかかる労力も大変なものがあると思いますが、以前のように司法試験本試験においても実施することを検討してもよいのでは、などと勝手ながら思う次第です。

でもまずは、来週末実施される口述試験の受験者の皆様が、その実力を発揮できますように。

(文責:土屋)